◆ 思い切った餌やり方法を徹底!
昭和47、52、53年に赤潮による大きな被害を経験して、大型小割という画期的な養殖方法が生まれました。
引田漁業協同組合では、赤潮に負けない健康なブリを作るため、もう一歩、努力しています!
かつては、ブリ養殖漁場では早く成長させるため、毎日お腹いっぱい餌を与えていました。
しかし、天然のブリは、餌の魚群に出くわすとまとめて食いだめし、餌がないときは絶食が続くことが分っています。 従って、毎日お腹いっぱいになるまで餌を食べるのは、天然ではあり得ないことであり、食べ過ぎであると考えられるようになりました。
そこで!赤潮危険期である夏場には、ブリができるだけ健康な状態でいられるよう、餌を週2〜3回に減らし、
大型小割で広々と(一般の10倍の広さで)泳がせるという特殊な方法を厳守して、天然に近いストレスフリーな育て方を忠実に 守っています!
このようにして、夏場はあまり太らさずに泳がせて体長を伸ばし、秋から消化が良く栄養価の高い餌を与えて太らせます。
引田漁業協同組合では、過去に何度もこの方法で、体重が普通どおりになるかどうかの試験を行い、夏場に1ヶ月程度 絶食させても、冬には十分に体重が増えることを確かめました!
そして秋から冬にかけて、引田沖では水温が急激に低下するため、絶妙なタイミングで一気に脂がのり、 一段と美味しい魚に仕上がるのです。
◆ 環境にやさしい餌を使用!
かつての赤潮の発生は、瀬戸内海全体の富栄養化が最大の要因でしたが、当時の養殖では、冷凍イワシなどの生餌
のみを与えていたため、食べ残しや餌の流失があり、養殖自体が海に負担をかけていました。
その反省に立ち、引田漁業協同組合では、食べ残しのほとんどないMPやEP
を使用して、できるだけ海に負担をかけないように努力しています。
◆ 先端技術で改良!
赤潮が発生したときに、大型小割の中で魚は赤潮プランクトンから逃げることができますが、小割の中の潮通しを良く してやれば、赤潮プランクトンも速やかに小割を通過してしまうので、被害はより起こりにくくなります。
そこで、香川大学工学部(末永准教授)に依頼して、漁場の潮の流れから最も適切な小割の配置方法を調べてもらいました。
シミュレーションの結果から、小割の並べ方を整理し、間隔をできるだけ広げて、潮通しが良くなるように工夫しています!
◆ 赤潮プランクトンの発生状況を調査!
赤潮の発生する時期になると毎日、養殖漁場(沖合5km)で採水し、顕微鏡でプランクトンを観察して、赤潮プランクトン の発生状況を調査しています。
この情報は、地元だけでなく県漁連や県で集約され、県内の養殖業者に毎日報告されています。
このように、赤潮の発生状況を監視して、速やかに対応できるよう努力しています!
◆ トレーサビリティで安心!
さらに、引田漁業協同組合では、消費者の皆様に安心して食べていただけるよう、19年度からトレーサビリティシステムを導入しました。
これによって、ブリを始めとする養殖魚類の飼育履歴を当ホームページで公開しています。